装束展示
2023.12.21
展示品一覧(タップでスクロールします)
能楽の装束と能面の世界
矢来能楽堂では、伝統ある能楽の装束と能面を特別展示しております。数世紀にわたり受け継がれてきたこの芸術形式は、その繊細な装束と表情豊かな能面によって、見る者を時空を超えた物語へと誘います。当展示を通じて、能楽の深い歴史と文化的価値を感じていただければ幸いです。
当サイトに掲載されている画像は、矢来能楽堂の貴重な文化財を紹介するために特別に提供されています。これらの画像の無断複製や二次利用は、著作権法により厳しく禁じられています。能楽の伝統と文化を尊重し、これらの画像を私的な範囲内での閲覧にとどめていただくようお願いいたします。
展示品一覧

No.18
半切(はんぎり)
紅地 青海波模様 半切(あかじ せいがいはもよう はんぎり)
波頭を表す半円の波模様が繰り返されている。
穏やかな波を表す図柄で、「猩々乱」という演目に使う専用の半切(袴)です。昨今ではWi-Fiのマークが類似している印象です。

No.19
狩衣 (かりぎぬ)
紺地 鳳凰 袷狩衣(こんじ ほうおう あわせかりぎぬ)
狩衣は元々は貴族の外出着でしたが、能では帝王や神様、大臣など高位の身分の役に用います。金糸で鳳凰を描いたこの狩衣は、「高砂」の住吉明神や皇帝役などに着用しています。

No.20
縫箔(ぬいはく)
紅地 松藤 縫箔(あかじ まつ・ふじ ぬいはく)
糸による刺繍(縫)と金箔を押す(箔)ことで、柄の立体感が出る縫箔(ぬいはく)。多くの場合上半身部分を脱ぎ下げて、腰巻(こしまき)という着け方をします。
「羽衣」では衣を奪われた天女が腰巻姿で現れます。松に藤が掛かる絵柄は、和歌や文学にも多く描かれる伝統的なめでたい絵柄。羽衣に用いると三保の松原をイメージさせます。

No.21
厚板(あついた)
厚板(もえぎじ きっこう・きり・うんぱん あついた)
厚板は、唐織と同じく絹糸を機で織った生地を用いた装束。強く大ぶりな図柄が描かれるのが特徴です。
「石橋」の白獅子の内着や「山姥」の上着として大壺折という付け方で着用します。緑の地色から浮き出るようなそれぞれの図柄が強いインパクトを与えます。

No.22
猩々(しょうじょう)
酒好きな福の神の面。

No.23
山姥(やまんば)
山に棲む鬼女の面。ただし人を襲うのではなく、人を救済する山の精霊として描かれる。

No.24
大べしみ(おおべしみ)
天狗に用いる面。口元の力感を増すため口が切れていないのが特徴。

No.25
泥眼(でいがん)
美しいはずの女性が、怒りや嫉妬により内面に変化を起こしている表情。白目や歯を金泥で塗ることにより、怖ろしげな風貌となっている。

No.26
勝修羅扇(かちしゅらおうぎ)
勝ち戦の武将が用いる。松に日の出の絵。

No.27
負修羅(まけしゅらおうぎ)
負け戦の武将が用いる。波に入り日の絵。

No.28
神扇(かみおうぎ)
男性の神様が用いる。竹林の賢人の絵。裏は鳳凰の絵。

No.29
赤頭(あかがしら)
龍や動物など人間ならざる役に用いる。

No.30
白頭(しろがしら)
より霊的な存在や、老体の役に用いる。

No.31
腰帯(こしおび)
衣を止める帯の役割と図柄を描くことで役のイメージを際立たせる効果がある。

No.1
唐織(からおり):紅白段替わり御所車 模様(こんはくだんがわり ごしょぐるまもよう)
女性役が着る、能装束を代表する織物。工芸技術的にも最高峰のもので、主に京都の西陣で作られる。
※展示装束の解説文です。写真とは異なります。 (写真:装束使用例 能「楊貴妃(ようきひ)」)

No.2
法被(はっぴ): 紺地龍の丸模様(こんじ りゅうのまるもよう)
男性役の上着に用いられる。武将や龍神など力強い役柄に着用される。右肩を脱ぎ下げる着け方もあり、多用途に用いられる。
※展示装束の解説文です。写真とは異なります。(写真:装束使用例 能「天鼓(てんこ)」)

No.3
長絹(ちょうけん):白地鳳凰丸模様(しろじ ほうおうまるもよう)
羽衣の天女など女神や貴族の女性の上着として用いられる。幅広の袖を靡かせ、優美な舞を舞うために用いる。また貴族の男性役に用いるときには、腰帯で固定し胸からツユという組紐の飾りを垂らす。
※展示装束の解説文です。写真とは異なります。(写真:装束使用例 能「半蔀(はじとみ)」)

No.4
鱗泊(うろこはく):浅葱地金鱗模様(あさぎじ きんうろこもよう)
二等辺三角形の模様は、「鱗模様」と言い、龍や蛇、鬼を表す紋様です。般若の面をかける鬼の役に多く用いられます。
※展示装束の解説文です。写真とは異なります。(写真:装束使用例 能「安達原(あだちがはら)」)

No.5
翁面(おきなめん):白式尉(はくしきじょう)
能の原点である「翁」の演目に用いられる面。 にこやかな老人の笑顔が、「天下泰平・国土安穏」の祈りにつながります。

No.6
姥(うば):
お婆さんの面。眼が切れ長になっており、年輪を重ねた皺と白髪の仕立て。温和な表情が安心感を与える。

No.7
女面(おんなめん):増女(ぞうおんな)
若い女性の面の中でも一際、高貴でクールな表情の面。羽衣の天女や女神、身分の高い女性役に用いる。

No.8
小面(こおもて):
若女よりもう少し、年少な女性の顔。「小」はスモールではなくプリティの意味合い。

No.9
般若(はんにゃ):
有名な鬼の面。女性の鬼の顔で、恐ろしさだけでなく、悲しみの表情を併せ持つ。

No.10
笑尉(わらいじょう):
老人の代表的な面。髭を植えてあるのが特徴的。

No.11
痩男(やせおとこ):
地獄で苦しむ幽霊の面。頬がコケたリアルな表情が恐ろしくもあり、哀しげでもある。

No.12
獅子口(ししぐち):
文殊菩薩に仕える霊獣、獅子の勇猛な表情。

No.13
扇(おうぎ):
閉じた状態でも先が広がっている扇を中啓(ちゅうけい)と呼ぶ。花軍(はないくさ)と言われ、皇帝と后の前に多くの美しい女官達が描かれた優美な扇。

No.14
唐団扇(とううちわ):
中国の登場人物の場合、中国風(唐風)の団扇を用いることがある。皇帝や、仙人、楊貴妃のような高貴な女性が持つ。異国情緒を表す持ち物。

No.15
鬘帯(かづらおび):
帯状の髪飾りで、鬘(かつら)をつけた女性に用いる。シテ(主役)は金箔と刺繍のあるもの。シテ以外の役は金箔は用いず、刺繍のみのことが多い。若い女性は赤い帯、年配の女性には紅無しといって赤色以外の色の帯を用いる。

No.16
縫箔(ぬいはく):紅地帆掛船模様(あかじ ほかけぶねもよう)
縫箔は糸による刺繍(縫)と金箔の箔置き(箔)によって彩られる装束。波に帆掛船の模様が鮮やか。
※展示装束の解説文です。写真とは異なります。(写真:装束使用例 能「羽衣(はごろも)」)

No.17
冠(かんむり):天冠(てんがん)
菩薩様の冠に似て、中心に鳳凰を据え、瓔珞などを垂らし、絢爛な仕立ての冠。女神や楊貴妃などの役に用いる。
能楽の伝統を次世代へ
矢来能楽堂は、単なる建築物以上の意味を持っています。ここは、能楽の息吹を感じ、その深い文化と歴史に触れることができる貴重な空間です。私たちは、能楽という日本の伝統芸術が次世代にも受け継がれていくことを願っています。この展示を通じて、能楽の美しさを発見し、その魅力に心を奪われる瞬間を体験していただければ幸いです。
主催:公益社団法人能楽協会、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
委託:令和5年度日本博 2.0 事業(委託型)